認知症になりやすい人の特徴は?認知症になりにくい人と予防法
2023.05.25
認知症ケア
認知症とは、脳の病気などが原因となって記憶力や判断力が低下している状態のことです。認知症になると日常生活が困難になったり、人間関係に支障が出る場合があります。
自分や家族が認知症にならないためにはどうすればよいか、知りたい人は多いのではないでしょうか。何気ない生活習慣の中には、認知症のリスクとなるケースもあるため、該当する人は注意が必要です。
認知症になりやすい人、なりにくい人の特徴・性格と、認知症の予防法を解説します。
認知症に向き合う家族や専門職員の方にお届けする。認知症10,000人の方と関わる私たちが実践する、穏やかな気持ちで向き合うケア手法とは?
実は、一概に「~をしている人、~な性格の人は認知症になる」と断定はできません。認知症になりやすい人の特徴・性格に関しては、科学的に証明されたデータが存在しないためです。
ここでは、「認知症になるリスクが高い人」という形で、認知症になりやすい人の特徴を説明します。
食生活が乱れている人や、外出や運動もほとんどしない人は、認知症のリスクが高くなります。
食生活が乱れているとは、たとえばインスタント食品ばかりを食べていたり、不規則な時間に食事をとったりすることです。食生活の乱れは脳血管障害といった病気や肥満の原因となり、認知症のリスクを高めます。
外出や運動をしない生活も、病気や肥満の原因となる点は同じです。加えて、家で過ごしてばかりいると、新鮮な体験ができません。刺激のない生活は脳をしっかりと働かせることができず、認知症のリスクを高める要因となります。
過度に喫煙をしたり、日常的にお酒を飲みすぎている人は、認知症のリスクが高くなります。
喫煙をしていない人と比べて、喫煙をしている人は脳の認知機能が約1.5~2倍も低下しやすいとされています。喫煙は生活習慣病やうつ病にも影響すると言われており、認知症のリスクを高める要因です。
また、お酒の飲みすぎは脳の萎縮につながり、認知症のリスクが高まると言われています。高齢者はお酒のアルコールを分解する力が弱くなっているため、若い頃と同じペースで飲酒をしないように注意してください。
昼に眠り夜に起きている昼夜逆転の生活で常に睡眠不足の人は、認知症のリスクが高くなります。昼夜逆転の生活となりやすい働き盛りの年齢でも、若年性認知症になる可能性はあるため注意してください。
起きて活動している時に脳へと蓄積された老廃物は、睡眠中に排出されると言われています。睡眠不足は脳が老廃物を排出するメカニズムを阻害し、脳に老廃物を蓄積し続けてしまう原因です。
特に、脳と身体がともに眠っているノンレム睡眠の時間を確保できていないと、認知症のリスクは高まるとされています。
周囲に対して神経質だったり、怒ったりイライラしたりしやすい人は、認知症のリスクが高くなります。
神経質な性格の人は、他人の言葉や行動によってストレスを蓄積しやすく、うつ状態になるケースも少なくありません。うつ状態になると、注意力や判断力など脳の認知機能低下が起こるため、認知症になるリスクも高くなります。
また、怒ったりイライラしたりしやすいと、周囲とのコミュニケーションを円滑に行えません。周囲とのコミュニケーションを取ることが嫌になって他人との関わりが減ると、脳の老化が進行しやすくなり、認知症のリスクが高まります。
高齢者の中には、元気に自立した生活を送る人もいます。ただし、自分1人で何でもこなそうとする人は、認知症のリスクが高くなるため注意してください。
自分1人で何でもこなそうとすると、自宅に誰かを招いたり、他人に助けを借りたりする機会がありません。自然と他人との関わりが減り、結果として1人で過ごす時間が増えてしまいます。誰かと直接話す時間も少なくなり、言葉のやりとりによる刺激を脳が受けられません。
自立した生活を送ることは、認知症予防に役立ちます。しかし、自立した生活の中でも、他人との関わりを保つことが大切です。
糖尿病・高血圧・メタボリックシンドローム・歯周病などの生活習慣病にかかっている人は、認知症のリスクが高くなります。
たとえば糖尿病は、罹患者がアルツハイマー型認知症に約1.2~2.3倍もなりやすいと言われている病気です。高血圧やメタボリックシンドロームは脳梗塞・脳出血につながる危険性があり、認知症のリスクにもつながります。
歯周病は進行すると歯を失うことがある病気です。歯を失うと噛む力が弱くなり、食事による脳への刺激が減って、認知症のリスクが高くなります。紹介した以外の生活習慣病も認知症のリスクを高めるため、生活習慣病にかかっている人は注意してください。
一般的に、人付き合いが好きな人や運動習慣が身についている人、目的のために努力できる人は認知症になりにくいと言われています。他人と関わったり、計画を立てて行動したりすることで脳が刺激を受けて、認知機能が保たれやすくなるためです。
また、「責任感」「自制心」「勤勉さ」の3つを備えていることも、認知症になりにくくする上で重要であると言われています。
たとえば責任感や勤勉さがある人は、自分の記憶力や計算能力が落ちた時に改善のために努力ができます。自制心がある人は、規則正しい生活を送ったり、感情をコントロールしたりすることが得意です。
紹介した特徴・性格との合致が多い人ほど、認知症のリスクを抑えやすくなり、認知症になりにくいと言えます。
本人の生活習慣や性格によって、認知症のリスクが高いか、認知症になりにくいかは変わります。しかし、認知症になりにくい人でも、認知症にならないとは言い切れません。
認知症の有病者数は2012年時点で約462万人に上っており、高齢者(65歳以上)の約15%が認知症を発症すると言われています。さらに認知症を発症する可能性は加齢によって高くなるため、認知症は誰でもなり得る状態です。
アルツハイマー型認知症に代表される認知症は、根本的な治療が困難であり、完全な予防も難しいとされています。しかし、認知症の発症を遅らせる、認知症になっても症状の進行を緩やかにする予防法は研究されています。
認知症の対策としては、症状を早期発見して、早期対応を取ることが大切です。
(出典:知ることから始めよう みんなのメンタルヘルス「認知症」
/https://kokoro.ncnp.go.jp/disease.php?@uid=WwE9LLpYbVZTIDMI)
(出典:厚生労働省「認知症の人の将来推計について」
https://www.mhlw.go.jp/content/001061139.pdf)
最後に、認知症の発症・進行を遅らせる主な予防法を、箇条書きで紹介します。
しっかりと予防を行うと、認知症の発症・進行を遅らせる可能性が高められます。認知症になりやすい人・なりにくい人のどちらも、紹介した予防法を意識して生活しましょう。
また、認知症を発症した時は、まだ初期症状であるうちに専門医を受診することが重要です。
食生活の乱れや運動不足、過度の飲酒・喫煙、睡眠不足がある人は認知症の発症リスクが高まります。怒りやすい人、他人を頼ろうとしない人、糖尿病や高血圧などの生活習慣病がある人も認知症になるリスクは高いため注意してください。
一方で、人付き合いが好きな人や活動的な人、責任感・自制心・勤勉さを備えている人は、認知症になりにくいと言われています。
認知症は年齢を重ねると誰でもなり得る状態です。自分や家族が認知症になる可能性も考えて、発症・進行を遅らせる予防法を実践しましょう。
認知症に向き合う家族や専門職員の方にお届けする。認知症10,000人の方と関わる私たちが実践する、穏やかな気持ちで向き合うケア手法とは?